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2012年09月15日

いまこそ、十勝モンロー主義でGO!

2007年12月8日(土) 03:51 ▼コメント(10)

 さて、相変わらずの偏屈記事でございますけれど、いい歳(30歳以降かな)こいたら、これくらいのコトはアタマの隅にでも置いておいて欲しいよね。それが地域の生き残りにつながるのだから。

 参考記事:
十勝の記憶 デジタルアーカイブ
羊蹄学園大学社会学部講義集
 ↑の記事はですね、「十勝モンロー主義とはなんぞや」を確認するために検索で偶然ブチ当たったもの。特に「羊蹄学園大学」は大変興味深い内容でした。昨年の9月で更新停止しているのが残念でございます。


 マイとかちに上梓されたいくつかの記事を目の当たりにしまして、ワタシ考えました。「十勝モンロー主義ってなんだろう」と。自分なりに結論を出してみたかったのです。とかく否定的な意味合いに捉えられているというか、自虐的に使用しているというか。そういったニュアンスのようですけれど、ほんとにそれでいいのか、と。

 兎角十勝の住民・企業は余所から来たものに対して排他的である、というのが通り相場の如きになってしまったのは「十勝モンロー主義」という言葉だと思うのですよ。外部の方ばかりでなく、十勝住人でさえ、「だから十勝は駄目なんだ」とするのに得意げにお遣いになっているように見受けられる。

 米国発祥の「モンロー主義」を高校の世界史あたりで学んで、マリリン・モンローを脳裏に浮かべるものだから、やけに耳障りのよい言葉になってしまうのでしょうね、きっと。

 さて、「十勝モンロー主義」を定義しているものはないか、と探してみました。

 で、見つけましたのがコチラ↓の一文ですよ。
 明治26年(1893)帯広は農業開拓地十勝の官制大市街地とされ、ここに商人志望・職人志望の移民が集結したのであった。「利益共同社会」の農産物集散地であったがために、農業生産1本の十勝郡部とは、利害は必ずしも一致せず、終始、「運命共同体」とはなり得なかった。その間柄は、もっぱら十勝全般の政治裁量、行政裁量の拡大を目的とした案件ごとに構成員が変わる、第3の共同体、「使命共同体」であった。後年「十勝モンロー主義」と称された、この産業、経済的思考は、年を追うごとに絆を強くし、十勝の利益享受の源泉となった
(後略)
 北海道十勝支庁:十勝の記憶 デジタルアーカイブ:帯広市史 その他の産業  まとめ より抜粋


 お役所の出しているものですから、一種の公式見解と考えて差し支えありませんよね。かなり格調高い文章ですので、全文読んで意味を咀嚼するには相当骨が折れます。けれど、まとめくらいは読んでみていただきたい。人口の割りに力強い帯広・十勝の経済環境はどのように整っていき、道内他都市との比較で優位に立ったのかがワカリにくく書いてあります。

 早いハナシが「十勝モンロー主義」のお陰で、伝統的に十勝は強くなれたんですよ、ということ。「十勝モンロー主義」は排他的ということではないんです。基本的に地域でできることは地域でやろう、ということ。

 地域にとってプラスになることであれば、外部からの人材や知識の導入には極めて貪欲に先人は取組んでいる。これがなければ、地域間闘争に勝てない。鎖国とは違うわけですから。

 なんで地域内で収めなきゃならないの、といえば単純に「資金の流出を防ぐ」ということ。カネは経済活動の血液です。これが足りなかったり、失われてしまえば地域は活動を停止せざるを得ない。

 十勝管外資本の企業から財やサービスの提供を受けるということは、これすなわち、アガリが余所に出て行ってしまうということです。それをいかに抑えるか、が地域経済活動隆盛の基本的スタンス。要するに地域の景気を良くしたいのであれば、マルハンやダイナムやイーグル(管外資本)なんかではなくて、ジェネシス系列(管内資本)になさいな、ということです。

 経済は循環してます。「とにかくワタシは安いほうがいいわ」とヨーカドーやポスフールで買い物をするとしますわね。その場では財布は軽くならない。ところが、自分の勤めている企業によっては給料が減る可能性がある。なぜなら、売った物の利益は余所(管外)に行ってしまうからです。地域のお金が減ったワケですから、誰かが割りを喰う。

 そういったこと、考えたことあると思いますけど、すぐ忘れてしまう方が結構多いのでしょうね。


 で、もうひとつ興味深い一文↓を。
(前略)
しかし、その道新をはじめとする、北海道の一番手企業が苦戦するとされている地域が、同じ北海道でありながら存在します。
帯広を中心とすると十勝地方です。

十勝はいわば「プチ日本的傾向」の北海道にあって更に「プチ日本的傾向」にある、いわば「プチプチ日本的傾向」の土地と私は見ます。
というのも、この地域はなかなか道新に限らず、札幌資本の一番手の介入ができない地域なのです。


なぜか。
明確な答えは出しにくいですが、ひとつ言えるのは十勝の資本で、全てがまかなえるから、というのが理由でしょうか。
つまり札幌資本が帯広などに来なくても地元の資本が住民のニーズに応え、きめ細かい帯広本社のネットワークが作られるのです。



いい例が、十勝地方独自の日刊紙、十勝毎日新聞(略称「勝毎」)の存在です。
勝毎は、道新の十勝地域でのシェアトップを長年、阻み続けてきました。
否、道新も無策だったと言うわけではありません。
勝毎をやっつけようと帯広での新聞印刷態勢を強化したり、道新資本の地域FM局を帯広にわざわざ開局したりしているのです。
しかし、それをはるかに凌駕するものを勝毎は作り出し、帯広や十勝の住民の支持を集め続けているのです。
今ではケーブルテレビまで所有し、地域情報専門番組の放映までしています。

また、最も帯広資本の強さがわかるのは毎年夏に帯広で開催される花火大会です。
夏に帯広で行われる大規模な花火大会は2回あります。
1つは道新主催のもので、今年の打ち上げ数は去年の3倍以上の1万発と大規模になりましたが、地元の勝毎が主催するもう1つのものは、その数をはるかに上回る3万発、全国トップクラスの打ち上げ数と言われており、全国的にも注目されています(ちなみ道新本社が主催する札幌の花火大会ですら4000発)。
つまり道新が帯広資本の催しに太刀打ちできないのです。


そういったことの悔しさの現れでしょうか、道新は事あるごとに帯広や十勝の気質を「十勝モンロー主義」(モンロー主義とは、アメリカの外交政策から起因した、互いに干渉しない主義のことを言う。ここでは同時に十勝の地域としての閉鎖性も指摘している傾向がある)だと紙面で書き立てます。


ただ、これらのことは同時に帯広資本の強烈な札幌資本への対抗意識があることも裏返しとしてあります。
よく帯広本社の会社が札幌に進出する際にその経営者が「向こうは札幌出身で都会育ちの騎馬鉄砲の正規軍、こちらは田舎出身の長槍のゲリラ軍」と自分と相手のことを形容します。
ここには、力の差は認めながらも、しかし何とか勝ちたいという気持ちも見え隠れします。

帯広で生まれた練成会も例外ではありませんでした。
このような人口20万人足らずのモンロー主義を貫く帯広の地域文化の中で育まれ、正規軍の進学会とゲリラ軍として戦うべく力をつけ、全道へ飛び出していくことになっていったのです。
(後略)
羊蹄学園大学社会学部講義集 塾戦争光の第1章:佐山武雄の塾戦争第8回~北海道戦争史(4)~(4、北海道とは帯広とは) より抜粋


 こちらには十勝毎日新聞社さまとれんせいグループさまの2社が取り上げられています。現在はオカモトグループさまも加えてもよろしいのでしょうね。

 さて、どうです。十勝モンロー主義って決して悪いことではない、ということがご理解いただけたと思います。悪いのは言葉の誤った遣い方と理解です。むしろ地域としての競争力保持のためには十勝モンロー主義の徹底に加えて、外に打って出る、という戦略が求められているのです。

 事態は切迫しています。そのことの危機感を地域住民がそれぞれ自覚的にならないと地域は生き残れません。役所にああすれ、こうすれ、というのも大切でしょうが、そんなことは枝葉末節。まずは自分が変わること。そうしないと地域は変わりませんし、役所も動かないでしょう。

 ご自身や配偶者が十勝管内地元企業にお勤めの皆さん。給料を増やすためには「十勝モンロー主義でGO!」でございますよ。それがご理解いただけたでしょうか。



コメント(10件)


2007-12-08
雪。華。
 うーーーーーん。

 十勝の資本で全てが賄えるから。

 経済の血液の流出防止。

 むむぅ。なるほど…。


 でもやはり小骨が刺さっているのです。
・真正面からぶつかって(競争)、住民がその地元力の大切さを実感する過程を経ずに、一つの選択肢のみに予め限定するのはどうなのか…?

・十勝/帯広管内(地元資本同士)で、殆ど競争が無い(ように見受けられる)のは、不自然ではない?


ちょっと水差しで、
・錬成会の発祥時の理念は、そこでは無かった。よりジモティーな、丁寧で温かいものだったらしい(善し悪しは、人それぞれ)。


 オカネとチカラで、自社力を揺さぶられそうなものは徹底して排除する。というイメージが、チラチラと常に見え隠れ。いつの間にかそんなヒネクレタ見方に…。。




2007-12-08
端野 萬造
>雪。華。さま
 転入者の視点には示唆が富むものが多くて、大変参考になります。足元、は意外に見えていないものですから。

 お説ご尤もと考えます。しかしながら、十勝管内でも無競争なわけでもない。かちまいさまにしても、れんせいさまにしても、オカモトさまにしても。戦って現在の地位を築いている。六花亭さまや柳月さまも創業当初からいきなり今の地位にいたワケではありません。

 帯広市内でも数多の商店やスーパーが存在していました。フクハラは鹿追町の1店舗から始まりましたし、ふじとも(現オーケー)さまやいちまるさまは創業期からの様子をワタシはヲチしておりますよ。彼らは生き残りです。

 域内経済を活性化させて地域おこしを図る、というのは現在では当たり前に言われていますけど、十勝の先人は開拓当初からその理屈を理解して実践していた、ということです。
(続く)




2007-12-08
端野 萬造
(続き)
 それが特異なウゴキでしたから、「十勝モンロー」とされただけのこと。そして、長い歴史の中ではガリバーといえどもいつまでもその地位が安泰なワケではない。それは理解いただけますでしょ。

 常にイノベーションが必要です。それができない企業はいずれ衰退する。

 いずれにしても、商売は奇麗ごとでは済みません。自社の経営を揺るがすもの、脅かすものに対しては戦わなくては。自分を守ってくれるのは、自分しかない。その行動の当否は歴史が判断するでしょう。負けて称えられても、企業が存続しなくては意味がないということですね。

 でも、雪。華。さま。いつも思いますけれど、携帯でのカキコ、疲れません? 指もさることながら、カキコした内容を推敲するのも大変ですもの。頭が下がります。

 ワタシ、それほど携帯メールを多用しているつもりはないのですが、最近右手親指に違和感を感じるようになりました。嫌だなあ。



2007-12-08
taka
こんにちは。

3年前に十勝に戻ってきたとき、
「雪。華。」さんと同じような違和感(というか、気持ち悪さみたいな感じ)を常に感じていたのですが、
3年たった今、その気持ちが少しずつ薄れてしまって
いる自分に気づきます。

常に複合的な視点で自らや自らのビジネスを省みる、
そんな当たり前のことを思い出しました。


いい記事だなぁ、ありがとう>まんぞう






2007-12-08
taka

ごめんなさい

「さん」 が抜けました。


まんぞうさん♪




2007-12-08
端野 萬造
>takaお嬢さま
 そうですねぇ、啖呵切ったこともおありになるって、おしゃってましたものね。もう、喧嘩っぱやいのですから。でも、明確な意思表示は必要ですわ。相互理解に欠けるビジネスは必ずどこかでほころびますもの。

 単視眼でものごとにあたりますと、どうしても見落とすものが出てまいります。複眼ですと確かに情報が多過ぎてそれに惑わされるという側面もあるのでしょうが、ワカッてて切り捨てるのと全く知らないのとでは対応が雲泥の差でございますもの。

 今回の記事、結構十勝の在り方についての本質的な話題について触れているのかな、という自負はございます。自分なりに気づかされることが多かったという。だから、記事にしたのです。

 多くの方がこういった提起をされると議論が深まって、知の集積が進むと思うのですけれど。多分、皆さん仕舞いこんでしまっているのでしょうね。

 勿体無いと思います。






2007-12-09
ジュウザ
初めまして!大人な記事にガキがコメント失礼します♪
ここ(マイとかち)を毎日のように利用させてもらっててナンですが
マイとかちも『十勝モンロー主義』が当てはまるような
良い意味でも悪い意味でも




2007-12-10
端野 萬造
>ジュウザさま
 マイとかち以外にもこの地域に特化したポータルサイトが存在するのはご存知ですよね。ワタシも全容は捉えきれていないとは思うのですが。

 その中でなにゆえ、マイとかちが最大のアクセス数を勝ち得るに至ったか。分析はしていませんけど、ユーザーの取り込みが上手くいったのは間違いない。

 ただ、とかちナビ、の時代のほうがココロあるROMユーザーには評価が高いというのも紛れもない事実のようでしてね。

 結局、地域の情報を取りに来ても得られない、という状況に陥ってしまっているのはヘッドラインをご覧になっても理解できますわね。

 結局は使用する側の意識の問題になってしまうのでしょうが。ですが地域限定サイトの有用性については、ワタシは非常に高く評価しています。

 ジュウザさまにも期待しているのですよ。






08-18 18:08
佐山武雄 @ocn.ne.jp
今更申し訳ありませんが、講義集(ブログ)の復活のご挨拶と、取り上げていただいた御礼に書き込みさせていただきます。
お褒めの言葉もありがとうございます。

こういう取り上げられ方は予想外だったのですが、嬉しいものです。
私としては両面性があると思います。地域への意識の高さは生むけれども弊害として地域の閉鎖性(特に精神的な)ということも考えられるので。
しかし、そうは言ってもこの根性?は大したものだと思います。
問題は「十勝モンロー主義」をどう育み使い表現するか、そこに住むひとりひとりの意識だと思います。中には個人や会社の利益の誘導のために悪用している人もいないとは言えないと思います。
私としては中立公正であのくだりは綴ったつもりですが、地域が疲弊していく中でどうなるのか注目しています。




08-18 22:38
端野 萬造
>佐山武雄さま
 直々のお出まし、恐縮でございます。講義集復活に際し、一言お喜び申しあげます。ワタシ、帯広市内において学生時代塾講師をしておりました。今から20年以上前のこと。畜錬の奥山会長、進学会の平井社長とも当時面識がございました。兄貴分と目していた人物が北陸で学習塾を起業したものですから、協力した関係で塾経営について、非常に興味深く見つめておりました。

 業界から離れ、当時の状況はワタシの中ですっかり思い出と化していたのですが、記憶をまざまざと蘇らせてくださったのが、一連の塾戦争シリーズでございました。十勝モンロー主義について考察を深めるための資料集めで、思わぬ幸甚に出遭えたわけです。

 地域興しの起爆剤(人材)は外部導入に限る、というのが最近の思いです。そしてそれは、十勝モンロー主義とは決して矛盾しないであろうと。今後とも鋭い分析でよろしくご指導くださいませ。


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Posted by きむらまどか at 08:33│Comments(3)まちづくり
この記事へのコメント
時計偽物
Posted by 時計偽物 at 2012年09月15日 10:31
時計偽物
Posted by 時計偽物 at 2012年09月15日 10:32
地域への意識の高さは生むけれども弊害として地域の閉鎖性(特に精神的な)ということも考えられるので
Posted by スーパーコピーブランド at 2013年07月15日 15:41
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